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サイゼリヤの「1円値上げ」の効果を考えてみた

2020-08-06
引用している記事はこちら:サイゼリヤ、社長も驚く「1円値上げ」の成果​
ファミリーレストランのサイゼリヤはこれまで、非常に安い価格帯で商品を提供してきました。その中でも人気商品の「ミラノ風ドリア」は299円。安くて美味しい僕も大好きな一皿です。
しかし、2020年の7月に「ミラノ風ドリア」は1円値上げをし、300円になりました。他にも様々な商品の値上げや値下げが行われ、商品の価格が全て50円単位になったのです。
サイゼリヤはなぜ、このような変更をしたのでしょうか? 堀埜 一成社長によると…
「最大の意図は、コインの受け渡しを削減することにあった。コロナ禍によって、顧客も従業員もコインのやり取りをなるべく避けたい。すべての商品の価格を50円単位にすることでコインの受け渡しを6~8割減らせると想定し、実際にその通りになった。」
コロナ禍の影響により、従業員やお客さんの新型コロナへの感染を可能な限り防ぐ必要があります。
もちろん、最大限に防御するためには、お店の営業を辞めるのが一番です。ですが、お店が続いていくためには、そのような対処方法は本当に最終手段です。そこで、堀埜一成社長は、煩雑なコインのやりとりに注目したのです。

お釣りの枚数はどれぐらい変わる?

細かい値段設定になっているお釣りがたくさん必要になります。例えば、価格が501円になったときに、1,000円で支払いを行うことにします。すると、499円のお釣りが発生します。
499円を最低限の枚数で渡すには…100円×4枚、50円×1枚、10円×4枚、5円×1枚、1円×4枚と、合計14枚を受け渡す必要があるのです。
もしこれが500円であれば、お客さんは500円を渡して支払うこともできるし、1,000円を支払って500円1枚でお釣りを渡すこともできるのです。
1,000円を支払った場合に、1円〜999円の価格だった場合に発生する、お釣りの枚数を見てみましょう。
お釣りの最低枚数は1枚、最大枚数は14枚です。全ての金額で平均すると、7.5枚を渡すことになります。標準偏差は2.58です。
これが50-950円になると枚数はどうなるでしょうか。 最低枚数は1枚、最大枚数は5枚です。平均は3.0枚で、標準偏差は1.33となります。
1,000円までの間のお釣りの枚数が、大きく変わってくるのがわかると思います。実際のサイゼリヤの商品の価格を使えば、実際にどのぐらいの枚数が減ったか計算できるでしょう。あなたのお店で試してみても、面白いかもしれませんね。

コイン受け渡し削減の効果

このように枚数が減り、以下のような結果が出ました。
「会計にかかる総時間も30%減少した。ぴったり払いやすい金額になったことで、釣り銭を渡す時間が減った。自分が食べた分の金額が500円、600円などとキリのいい金額なので、レジに来る前にグループでまとめてくれることも多くなった。価格改定で個別会計は25%減少した。」
飲み会で、3,333円ずつ支払ってくださいと言われても、各人で用意することは難しいですよね。ある人は1万円札しか持っていないかもしれないし、5,000円札しかないかもしれない。
こうした場合に、どうやって支払いをするか考えるのは面倒ですよね(もちろん一番幸せな方法は誰かが、全額払ってくれることです!)。でも金額が5,000円や1万円なら支払いやすくなります。

お客さんの面倒ごとをなくす

お釣りの数を少なくしたことで、お客さんは支払いやすくなりました。最近では、電子マネーでの支払いも増えていますが、現金で払う人はまだまだ多いです。電子マネーを利用している人からすると、現金で支払っている人が、会計に時間がかかっているのをみると、「早くしてよ!」とイライラする可能性は高いでしょう。
現金で支払うのが好きな人でも、金額が細かいと面倒と感じてはいます。僕が支払いをするときに、どう考えているかを3ステップに分けてみました。まず、財布の中を見て…
  1. ちょうど払うことができないか計算する。
  2. 1が無理なら、お釣りが少なくなる金額で支払えないか計算する。
  3. 2が無理そう/考えるのが面倒なら、大きい金額で支払う。
支払いが50円単位になることで、この思考を楽にすることができます。ちょうど支払うことができないか考えるときに、10円、5円、1円を意識する必要がなくなります。(ちょっと足りない時は別ですけど)
でもサイゼリヤの場合、お釣りは絶対50円単位で帰ってくるので、2のステップを飛ばして、1,000円で支払うことにしても、そんなにお釣りが多くなることはありません。
お店側から見ても、お釣りで10円、5円、1円を用意しておかなくてもよくなりますし、枚数が少なくなるのでミスも少なくなることでしょう。これは楽だ!

Twitterの1,000円ガチャ

さらに、この値上げによって、客単価が向上した。どういうことだろうか?
「さらに面白いのが客単価が上がったこと。当社の客単価は700円台前半だったが、50円や100円刻みの値段設定にしたことで、ちょうど合計1000円を目安に注文する顧客が増えた。」
「加えてTwitterなどで「1000円ガチャ」(サイゼリヤのメニューから1000円ちょうどになる組み合わせをランダムで表示するWebページ)が話題になった。あれを見て、1000円ちょうどになるように注文する顧客が増えたのかもしれない。1000円ガチャ様々だ。」
サイゼリヤは低価格ファミリーレストランとなっていることもあり、本当に安いんですよね。
通常のお店では、1,000円だと1つのメニューしか頼めないところが多いと思います。2種類オーダーしたら、1,000円を超えてしまうことがほとんどでしょう。でも、サイゼリアでは1,000円の自由度がけっこう高い。いくつものメニューを組み合わせて、1,000円でいろんな楽しみ方ができます。
このガチャによって、1,000円を目指すというのが、お客さんの中で"目標"になり、ちょっとしたゲームのような楽しみ方ができます。これがサイゼリヤと、他のファミリーレストランとの差別化ポイントになっているのではないでしょうか。
人はキリのいい数字が好きです。Twitterでもフォロワーがキリのいい番号に到達したら、喜んでツイートする人がたくさんいます(僕もやりました…)。1円単位では、狙うのが難しかった1,000円というキリのいい金額が、50円単位になって達成しやすくなったのが、大きいのではないでしょうか。

心理学的にみると、値上げの影響はあるのか?

価格には、お客さんが買いやすくするような値段というのがあります。例えば、商品の値段を1,000円とするのではなく、980円などと、1,000円より少し少ない金額にするのです。
このような金額にすることで、1,000円いってたら高いと思うけど、それ以下だからいいか!という思考になりやすいです。実際には、ほとんど1,000円なので変わらないのですが、心理的には効果があります。
このような価格を「大台割れの価格」と言ったりします。様々な商品で、1,000円などの大台に乗った価格と、980円などの大台割れ価格に対して、高いと感じるか、安いと感じるか、評価をしてもらいました。すると、大台割れ価格の値段を見た人の方が、安いと感じる度合いが高くなることがわかりました。
サイゼリアの「ミラノ風ドリア」などの商品も、これまではこのような価格を活用していたと思われます。300円ではなく、299円にすることで、安く感じてもらっていたのです。
このような効果を知っている人であれば、1円の値上げは意外と大きなインパクトがあるのではないか、と考えていたと思います。記事で数字はまだ見えませんが、来店している人はそんなに減っていないような印象を感じます。

299円と300円は意外と変わらなかった?

人は、そのジャンルや分類に使う金額は、ある程度決まっています。例えば、僕はお昼ごはんを食べる時、大体1,000円ぐらいまでかな、というラインがあります。この金額を超えると、"お昼ごはんにしては"ちょっと高いかなと思って、避けてしまう傾向にあります。
逆に1,000円以下なのであれば、そんなに気にせずに食べてしまいます。でも飲み会であれば、3,000円〜4,000円ぐらいなら普通かなと思います。
人によって数字は変わってきますが、そのジャンルや分類によって、使う金額の上限がある程度決まっているのです。これを行動経済学では「心の会計(メンタルアカウンティング)」と言います。
この時、重要になるのが、「心の会計」の最大値です。僕の場合、お昼ごはんの最大値が1,000円でした。そのため、定食の価格が1,050円だと僕はほとんど買いませんが、980円であれば買います。では、1,000円だと言われるとどうかというと、ちょっと悩みます。なぜなら、僕の中では、それが一番高い価格だから。
このように「心の会計」の大台から、ちょっと価格を下げると、大きな効果があります。でも、600円か580円であれば、僕の中ではほとんど変わりません。
サイゼリヤに話を戻すと、1円の値上げをして、299円が300円に変わったことは、お客さんにとって"大台"ではなかった可能性が高いです。Twitter1000円ガチャが話題になったことを考えると、サイゼリヤのお客さんも1,000円が”大台"である可能性は高いように思います。
実際にやってみなければわかりませんが、多分もう50円ぐらい値上げして100円単位にしても、大丈夫なんじゃないかなぁ…。サイゼリヤさんは低価格で攻めてるので、追加で値上げはしなさそうですけどね!

最後に

まだ値上げされてから1ヶ月しか経っていないので、これからどうなるか経過を追っていきたいですね。
「ミラノ風ドリア」食べたいなぁ…。

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プロフィール

西松 大輝:マーケティング・サイエンティスト

数字から愛へ
・「何を変えるか?」を行動経済学・TOCLSSで分析する。
・「何を伝えるか?」を戦略・マーケティングで明確にする。
・「何を測定するか?」を機械学習・ITで支援する。

"全部"やらなくっちゃあならないってのが 「マーケティング・サイエンティスト」のつらいところだな。
覚悟はいいか?僕はできてる
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